全日本剣道連盟居合 技の目録 <制定 12本>

 


 

<正座の部>

一本目「前」(まえ)

[要義] 

対座している殺気じ、機先してこめかみ(注1)きつけ、さらに真っ向からしてつ。

 

二本目「後」(うしろ)

[要義] 

背後に座っている敵の殺気を感じ、機先を制してこめかみに抜きつけ、さらに真っ向から切り下して勝つ。

 

三本目「受け流し」(うけながし)

[要義] 

左横に座っていた敵が、突然立って切り下してくるのを、鎬(しのぎ)(注2)で受け流し、さらに袈裟に切り下して勝つ。

 

<居合膝の部>

四本目「柄当て」(つかあて)

[要義] 

前後に座っている敵の殺気を感じ、まず正面の敵の水月(すいげつ)(注3)に柄頭(つかがしら)を当て、続いて後ろの敵の水月を突き刺し、さらに敵を真っ向から切り下して勝つ。

 

<立ち居合の部>

五本目「袈裟切り」(けさぎり)

[要義] 

前進中、前から敵が刀を振りかぶって切りかかろうとするのを逆袈裟に切り上げ、さらにかえす刀で袈裟に切り下して勝つ。

 

六本目「諸手突き」(もろてづき)

[要義] 

前進中、前後三人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の右斜め面に抜き打ちし、さらに諸手で水月を突き刺す。次に後ろの敵を真っ向から切り下す。続いて正面からくる他の敵を真っ向から切り下して勝つ。

 

七本目「三方切り」(さんぽうぎり)

[要義] 

前進中、正前と左右三方の敵の殺気を感じ、まず右の敵の頭上に抜き打ちし、次に左の敵を真っ向から切り下し、続いて正面の敵を真っ向から切り下して勝つ。

 

八本目「顔面当て」(がんめんあて)

[要義] 

前進中、前後二人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の顔面に柄当てし、続いて後ろの敵の水月を突き刺し、さらに正面の敵を真っ向から切り下して勝つ。

 

九本目「添え手突き」(そえてづき)

[要義] 

前進中、まえから左の敵の殺気を感じ、機先を制して右袈裟に抜き打ちし、さらに腹部を添え手で突き刺して勝つ。

 

十本目「四方切り」(しほうぎり)

[要義] 

前進中、四方の敵の殺気を感じ、機先を制してまず刀を抜こうとする右斜め前の敵の右こぶしに「柄当て」し、次に左斜め後ろの敵の水月を突き刺し、さらに右斜め前の敵、続いて右斜め後ろの敵、そして左斜め前の敵をそれぞれ真っ向から切り下して勝つ。

 

十一本目「総切り」(そうぎり)

[要義]

前進中、前方の敵の殺気を感じ、機先を制してまず敵の左斜め面を、次に右肩を、さらに左胴を切り下し、続いて要腹部を水平に切り、そして真っ向から切り下して勝つ。

 

十二本目「抜き打ち」(ぬきうち)

[要義] 

相対して直立している前方の敵が、突然、切りかかってくるのを、刀を抜き上げながら退いて敵の刀に空を切らせ、さらに真っ向から切り下して勝つ。

 

(注1)こめかみ=目と耳の線付近のこと。

(注2)鎬=しのぎ=刀の刃と峰の間のこと。

(注3)水月=すいげつ=腹部のみぞおち(みずおち)のこと。

 

全日本剣道連盟居合の解説テキストから抜粋させていただきました。詳しい動作の解説は(財)全日本剣道連盟が発行している「全日本剣道連盟居合(解説)」をご参考下さい。また実際の業の修練にあたっては、居合道の指導者に従って学んで下さい。