双直伝英信流居合 技の目録 <正座の部 11本>

 


 

一本目「前(まえ)

[ 意義 ] 我が前に対座している敵の害意を察知し、その機先を制して敵の顔面あるいは抜刀せんとする敵の上膊部(じょうはくぶ)に横一文字に斬り付け、さらに真向上段より斬り下ろして敵を倒す業である。血振り刀を右斜下にサッと振り下しながら(雨の雫(しずく)を振り落とす要領)後足を前足に踏み揃えて居合腰で立つ。

 

二本目「右」(みぎ)

[ 意義 ] 左側に座っている敵に対する業であって、一本目と同意義である。

 

三本目「左」(ひだり)

[ 意義 ] 右側に座っている敵に対する業であって、一本目と同意義である。

 

四本目「後」(うしろ)

[ 意義 ] 背面に座っている敵に対する業であって、一・二・三本目と同意義である。

 

五本目「八重垣」(やえがき)

[ 意義 ] 対座する敵に斬り付けたが不十分で、敵が後退するのを追込(おいこみ)で切り倒したが、致命に至らず倒れたる所より、我が脛に薙ぎ来るを、反撃して勝つ意なり。

 

六本目「受流」(うけながし)

[ 意義 ] 左斜側の敵が切り込んで来るのを受流し、その首に(または肩の辺り)斬り下して敵を倒す業である。

[ 方法 ] 鯉口を切りながら、左足を少し右膝前に出し、立ち上がりながら刀を抜き、右足を右斜後に引きながら相手の刀を受流し、そのはずみに切先を後ろにまわし、敵に向き直るや止まることなく相手の肩(首)に諸手にて斬り下ろす。

 

七本目「介錯」(かいしゃく)

[ 意義 ] 我が前に、左向きに座って切腹する者の首を斬る業である(打首ではない)。介錯は敵対動作ではないので、切腹者に同情する気持ちで極めて静粛に行うように心がけねばならない。

[ 方法 ] 刀を右斜前に抜きながら右足を前に踏み出し、半身となって刀を構える(その時右ひじの高さ、切先はやや下がり、刀は上を向く)。右足を大きく踏み込みながら左手をかけ打ち下す。以下、受流しと同じ。

 

八本目「漬込」(つけこみ)

[ 意義 ] 敵が正面から斬り込んで来るのを、一歩後ろに退いて外し(受流す気分で外す)、第一撃にて不十分なため、敵が後退するのをさらに追い込んで斬り倒す業である。

 

九本目「月影」(つきかげ)

[ 意義 ] 敵が我が斜右側から上段に冠って斬りかかってくるのを上段の小手に斬りつけ、敵が後退するのを追撃して、斬り下して勝つの意なり。

 

十本目「追風」(おいかぜ)

[ 意義 ] 前の敵が逃げ去ろうとするのを追いかけて斬り倒す技である。

[ 方法 ] 体を少し沈めながら追いかけ、間合いに入るや右足を大きく踏み込んで横一文字に敵の顔面(首または胸部とするも可)に抜き付ける。その後は月影と同様である。

 

十一本目「抜打」(ぬきうち)

[ 意義 ] 正面に対座する敵の害意を察知し、直ちにその真向より抜打にして勝つの意である。

[ 方法 ] 腰を上げながら、刀を前に抜き、上段に振り冠り(ふりかぶり)(敵が斬り込むともこれを受流す心)敵の真っ向に斬り下す。横の血振るいをして納刀する。