無双直伝英信流居合 技の目録 <番外の部 3本 立業>

 


この業前は、第十七代宗家大江正路先生が、五十四・五歳の頃の創案であります。即ち、名古屋市外在住の大江正路先生の門弟、森繁樹先生の旧制中学時代に「これが番外という業前である」と言われて創作された業と考えられています。その目的とする所は、いかに体動が激しくとも、またいかに激しく変体するとも、体勢が崩れることなく所作を連動し、また間違いなく納刀もできるように、英信流の中の二つの業を組み合わせて創作されたものです。

 

一本目「速浪」(はやなみ)

[ 意義 ] 我れ、不法に連行されるような場合に、その機をみて左右前後の相手を飛蝶(ひちょう)の如く転回して斬り倒す業前である。

( 要点 ) 立業にて「戸詰」の方技より始めます。

 

二本目「雷電」(らいでん)

[ 意義 ] 我れ、前進中に背後より我が刀の鐺(こじり=刀の鞘尻のこと)を取り上げられたので、それを振りほどいて刺突(しとつ)し、さらに頭上より斬り倒し、なおも斬りかかる相手の刀を受けて、そのまま右に回りながら真一文字に胴(紋所辺り)を引き斬り、さらに正面より来る相手を真向より斬り倒す業であります。

( 要点 ) 「滝落」の業に始まります。後方の相手を刺突(しとつ)する場合は足音をたてません。

 

三本目「迅雷」(じんらい)

[ 意義 ] 我れ、前進中に、突然数人の相手に囲まれたので、それ等の相手を左右前後に斬り倒す業前です。

(要点) 立業にて「四方斬り」の業より始まります。正面の相手を斬り下したところより、勢いよく「袖摺返」の業をなし、血振りを行って納刀します。